2018年度 一般社団法人静岡青年会議所
基本理念
イノベーションによる能動的思考で
胸の中の火種をまちづくりの炎に変える
誰もが明るい夢を想い描けるまち静岡の創造に向けて
基本方針
1.時代に即したスマートな未来志向型の組織への変革
2.戦略的ブランディングに基づく目に見える価値の創造
3.会員の相互交流の先に生まれるJAYCEEのポテンシャルの創出
4.地域経済の発展に尽力する真の地域のリーダー育成
5.インフラを通じて発展してきた文化創造を基軸とした持続可能な経済活力の向上
6.感謝と敬意の精神に裏打ちされた強く逞しく未来を切り拓くことができる人財の育成
スローガン
胸の中の火種を変革の炎に
誰もが明るい夢を想い描けるまち静岡へ
イノベーションを巻き起こせ
理事長所信
一般社団法人 静岡青年会議所
第13代理事長 栗山勝訓
はじめに
日本列島のほぼ中心に位置するしずおかは、3,000メートル級の山々が連なる南アルプスから大河川安倍川や富士川、景勝三保の松原に代表される駿河湾に至るまで、世界に誇る豊かな自然に囲まれた風光明媚なまちです。また、市内には日本の大動脈である高規格幹線道路や鉄道、新幹線が通過するとともに、海の玄関口となる清水港を有し、これまで人々の交流や交易の拠点として多彩な文化や伝統が育まれてきました。
しかしながら、現代の日本では、近年頻発する自然災害、急速な少子高齢化、ライフスタイルの変化と価値観の多様化に起因する人間関係の希薄化、利己主義の台頭等、多くの諸問題を抱えています。私たちが住まうこの静岡市も例外ではなく、政令指定都市に移行した2005年から10年以上が経過した今、全国に20ある政令指定都市の中で初めて70万人を下回る極めて深刻な人口減少に直面しています。そして、それに起因する生産年齢人口の減少、地域公共交通の縮小、子ども達を育む地域コミュニティーの縮小。さらには、若年層の人口減少が、地域の歴史や伝統文化の継承を困難にする等、地域活動が沈滞する新たな問題が生じ始めています。
このような時代だからこそ、時代背景を反映しながら英知と勇気と情熱を持った数多くの先輩方と共に、多様な事業を推進し地域社会の発展に大きな努力を積み重ねてきた静岡青年会議所の会員である私たち一人ひとりが、その自覚と責任を持ち、日々主体的に未来志向型の運動をしていかなくてはなりません。
2018年度、「明るい豊かな社会の実現」へ力強く歩みを進める私たちは、組織の根幹を見つめ直すとともに、会員の活動やまちづくり運動をはじめとしたあらゆるものを目に見える形に仕組化し、イノベーションによる能動的思考のもと、将来に対する使命と未来に対する責任を持ち、私たちが抱える社会的課題に正面から向き合うことで、市民一人ひとりが自ら行動を起こすまちづくり運動へと繋げてまいります。2020年に東京オリンピック・パラリンピックを開催する日本が世界中から注目を浴びる今、世界標準のまち静岡を目指して国際化を加速させ、持続可能な社会を創り上げる運動を展開し、地域の未来を支える人財の育成と、災害に強い地域への発展を通じて、誰もが明るい夢を想い描けるまち静岡を確立してまいります。
時代に即したスマートな未来志向型の組織への変革
青年会議所は、「明るい豊かな社会の実現」を理想とした、青年の青年による青年のため組織です。修練・奉仕・友情を信条とする団体であり、会員一人ひとりの成長が、その理想に繋がっていくことを信じて、創始の精神を継承することで、力強く歩んでまいりました。しかしながら、近年の急激な会員減少と在籍年数の短期化は、様々な課題を浮かび上がらせています。
今後、私たちがこの組織を永続的に引き継ぎ、誰もが明るい夢を想い描けるまちを創造していくためにも、私たちは創始の精神を根底に置き、組織の本質と向き合いながら、変えるべきことは変える勇気と守るべきことは守る冷静さを併せ持ち、時代に即したスマートな未来志向型の組織として変革する必要があります。
まずは、私たちの組織と運動が、誰のために何のためにあるのかという原理原則と、このまちの負託に応え得る公益性の高い組織であり続けなければならないという責任を常に意識し、公正公平な財務運営と厳格かつ効率的な会議と組織の運営をおこなってまいります。また、日々刻々と移り変わる現代だからこそ、時勢との調和を見定め、あらゆるものを仕組化し、情報共有を効率的に重ね、会員一人ひとりの想いを支え、力強くしなやかな組織の基盤を構築してまいります。そして、会員一人ひとりの運動に対する主体性と責任感の先にある地域社会からの信頼を獲得することで、私たちのこの組織をしっかりと次代に受け継げるよう邁進してまいります。
戦略的ブランディングに基づく目に見える価値の創造
青年会議所運動の根源は、会員一人ひとりの能動的な行動力と、より多くの力を集結することのできる動員力にあります。そして、青年会議所運動に込めた想いは、このまちの人々に広く理解されることによって、このまちとの協働を生み、人々の心に深く浸透します。それに対し、喫緊の課題である青年会議所会員数の減少と、継続的かつ効果的な情報発信システムの構築は、2018年度における最重要課題であると捉えています。今一度、私たちは会員一人ひとりがJAYCEEであること、青年会議所に所属しているという誇りを再認識します。そして、まちづくりという尊い運動が世界に貢献できる人財への成長に繋がっていることを広く深く発信して、人々からの共感と信頼を育むことにより、誰もが自らまちづくり運動へ踏み出すことのできる目に見える価値を創出してまいります。
新たな仲間が加わり同志の輪が広がることにより、私たちの運動には無限の可能性が生まれます。私たちの想いをより丁寧に伝えるために様々なツールを駆使しつつ、会員が自らの口で青年会議所の価値を自信と誇りを持って発信できる環境を構築してまいります。また、新たな同志は限りないポテンシャルとネットワークを有しており、青年会議所の新たな発信源となる好循環を生み出すため、女性や若い会員の拡大にも力を入れてまいります。
青年会議所は意識変革団体と言われています。私たちの運動・活動で得た経験による気づきは、意識を変革し、自発的な行動への原動力となっていきます。だからこそ、このまちの人々から理解・賛同をいただき、まちづくり運動にまず参加していただくことこそが重要な第一歩であると考えます。現在の情報発信ツールは多岐にわたります。最も効果的かつ多角的に発信できるチャンネルを確保し、市民一人ひとりにはっきりと目に見える形で情報発信することにより、青年会議所の存在価値の向上を図ってまいります。まずは、日頃より多大なるご理解とご協力をいただいている方々に対して、本年度の方針と活動内容を発信させていただくと共に、感謝の想いをお伝えすることで、さらなる協働による相乗効果を生み出してまいります。
会員の相互交流の先に生まれるJAYCEEのポテンシャルの創出
私たちが、明るい豊かな社会の実現に向けた運動をさらに強力に推し進めるには、今の時代に起きている変化に柔軟に対応し、組織の力を最大限に発揮して運動を行っていかなければなりません。組織の中での最小単位は個人です。個人が集まり、強い絆で結ばれることで組織の力は発揮されます。それは、組織の力は単に一人ひとりの力の総和だけではなく、絆の総和でもあるからです。私たち一人ひとりには、大きなポテンシャルを秘めています。会員同士が強い絆で結ばれ、相互にポテンシャルを引き出すことで、会員一丸となって運動に邁進する必要があります。
青年会議所で得られる真の絆は、真剣な運動を通じてのみ得られると考えております。静岡青年会議所には多種多様な会員が在籍しており、多くの人との繋がりの中から自己を見つめ、自分に足りないものに気付くことで学びを得る機会が数多く存在します。運動の中で切磋琢磨し心を通わせてこそ、一生涯の絆を構築していくことができると考えます。会員同士がお互いに感謝と敬愛の気持ちに溢れ、心を通わせる機会を創出することで、強い組織の構築に繋げてまいります。また、私たちの日々の運動を支えてくださる方々に対し、普段の生活の中で伝えることが難しい感謝の気持ちを、目に見える形で表現することで、その絆をより強固なものとして私たちのまちづくり運動の原動力に変えてまいります。
青年会議所は世界にネットワークを持つ幅広い組織です。私たちには、出向制度を用いて、LOMを飛び出して日本中、世界中の同志との絆を育む機会が与えられています。会員が出向先での活動を通じて、自己を研鑽し友情を育むことで、自らの可能性を広げることができる強い絆を基にした環境を創出します。また、渉外活動を通じて来静者におもてなしの心を感じていただくことで、来静者との絆を深める機会を創出し、静岡青年会議所のみならずこのまちの価値を高めてまいります。
地域経済の発展に尽力する真の地域のリーダー育成
私たちは青年経済人として、社業のために、自己成長のために、私たちが住む地域のためになど、様々な場面で自身の信念をもとに自らの行動を選択しなければなりません。高度情報化社会である現在、世界中のどこに住んでいても、世の中で起こっているあらゆる出来事を知ることができます。その一方で、多くの情報が溢れ過ぎていることから、自分の信じることや価値観が情報に左右されやすい時代でもあります。だからこそ、私たちは大切なこの青年期に実感のこもった多くの経験をすることで、揺るぎない信念をもたなければなりません。そして、経験による多くの学びを得ることで社業を繁栄させ、その先の地域経済発展に尽力し、地域のリーダーとして必要不可欠な両輪を兼ね備えた人財となる必要があります。
青年会議所に所属し、まちづくりを通して地域のリーダーとなる人財へと成長してくためには、その根源にある理念からJAYCEEとしての存在意義について学びなおす必要があると考えます。どのような高いスキルや経済力を以ってしても、地域との関わり、人と人との関わりは絶対に無くすことができません。JAYCEEである私たちが、その崇高な理念に基づき、行動する市民として地域社会へ積極的に貢献できる人財となることで、私たちの活動がこのまちを変える運動へと昇華されます。
また、私たちが地域経済を牽引し社会貢献をしていくためには、私たち自身が地域を背負って立つ青年経済人へと成長しなくてはなりません。既存の社会貢献のようにただ与えるだけではなく、ビジネスパートナーとしての関係を構築し、共感を基とした公益資本主義の考え方をもって、好循環のある社会貢献にチャレンジしてまいります。この地域で経済を牽引していく私たちが軸足を強固にし、社会全体を大切に想い、多くの地域の経済人を巻き込んでいくことで、このまちが全国でも勝ち残っていけるようにお互いを助け合い高め合う関係性を重視した地域経済を構築いたします。
インフラを通じて発展してきた文化創造を基軸とした持続可能な経済活力の向上
全国各地で発生する未曾有の大災害を目の当たりにした私たちは、この地域が近年大きな被害を受けていないことを奇跡とすら感じております。過去からこのまちの発展に寄与してきた交通インフラは、現在では経済発展の拠点だけではなく、国土強靭化に向けた防災の拠点として認識されてきております。有史以来このまちは、日本の大動脈である東海道を中心に多くの文化や伝統が生まれ、現在まで育まれてきました。このまちの未来は、過去から現在への延長線上に描けるものです。私たちは、このまちの文化を学び、伝統をしっかりと受け止め、それを活かしながら積極的にこのまちの未来予想図を発信しなければなりません。私たちが地域の価値を再認識し、このまちのポテンシャルを最大限に活かしたまちづくり運動を興すことで、多くの市民を巻き込み、地域に愛着と誇りを持った能動的なまちづくり運動として昇華させる必要があるのです。
このまちの発展のために寄与してきた交通インフラが、今後さらに整備されることで、都市と都市を結ぶ時間は、飛躍的に短縮され、企業活動の生産性向上と地方活性化に繋げることができ、災害発生時の支援補給ラインとしても重要な役割を担うことができます。今後、自然災害の発生リスクが一層高まる中、災害に強い地域を作るためには行政に頼るだけではなく私たち青年が声を上げ、地域や愛する人々の命を守るという当事者意識を市民に確立することが重要です。そして、多くの交通インフラの機能に防災の機能を併せ持たせることで、災害に強いまちを構築してまいります。
また、このまちに根付いた文化や伝統は、その時々の時代背景を反映しながら地域経済や地域社会の発展に寄与してきました。このまちに住まい働く私たちは、その文化、伝統の成り立ちや意義を再認識しなければなりません。そして、青年ならではの柔軟な発想で新しい息吹を吹き込み、持続的にこの地域に根付かせ、新しい時代の流れを生み出します。まずは私たちが地域の価値に気付き、その価値を自らの声で多くの市民に対して発信していくことで、誰もが明るい夢を想い描けるまち静岡へと変革してまいります。
感謝と敬意の精神に裏打ちされた強く逞しく未来を切り拓くことができる人財の育成
このまちの未来のためには、いつの時代も子ども達への教育が第一とされてきました。しかしながら、変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の高い、先を見通すことが難しい時代に直面した現代社会において、その教育も大きな変化を迫られています。次代を担う子ども達が、教えられたことを忠実に再現する先人たちの模倣者になるのではなく、自らの手で強く逞しく未来を切り拓くことができる人財になる必要があります。
どのようなものも簡単に手に入るような現代の日本では、戦前戦後の日本人が大切にしてきたお互い様やお蔭様の精神が失われてきました。モノがなければ、お互い様と言って助け合い、助けられることで自分が生かされていることに感謝し、お蔭様と言ってきたのです。今の時代、モノを手放すことはできません。不便さに立ち戻ることもできません。モノに溢れた世の中だからこそ、命と命との繋がりの大切さに気付くことで目に見えないものの価値を実感し、感謝や敬意を抱くことができます。そのような環境こそが、子ども達の自立を促し、強く逞しい青少年を育成することに繋がるのです。このまちの未来を担う子ども達が力強く未来を創り上げる一人の主役として成長できる機会を創出します。
また、多くの先進国におけるグローバル化には歯止めがかかり、自国第一主義が謳われる世の中において、国際組織である青年会議所は、地球市民一人ひとりに気づきを与え、まちを動かし、世の中を変えていくための運動を続ける責任があります。国際化を推し進めるこのまちと静岡青年会議所がともに、国際化へのベクトルを合わせて運動を行うことは、このまちへの波及効果を高め、多くの市民を巻き込むことにつながります。国際化に向けた運動がこのまち全体に浸透することで国際都市としての存在感を高め、インバウンド獲得や企業の外国人技師の招聘、外国人労働者の登用による交流人口、定住人口を増加させることに繋がります。多感な時期を過ごす青少年達が世界の現状に目を向け、Think global,Act localの視点を学び、その経験を強く発信していくことでこのまちの国際化は加速していきます。私たち大人も青少年達と手を取り合ってこのまちの国際化に向けた運動を一層加速させることで、私たち大人と青少年達が世界に貢献できる人財となることができます。そして、私たちが住まうこのまちが、アジアにある単なる一都市ではなく、国際的な視野を持った人々が集うまちに変わっていきます。
結びに
日々の生活はあまりにも不変で、その流れの中にいる私たちは、その変化をあまり感じることができません。しかしながら、このまちにも緩やかに、かつ明らかに数字で表れてきた人口減少は、地域社会を不安定にし、このまちを蝕み、崩壊へと導こうとしています。だからこそ私たちは、そのピンチをチャンスとして捉え能動的に運動を興していく必要があるのです。私たちが持つ青年らしい前向き、かつ気概に満ちた行動力は、いかなる困難にも立ち向かい、克服することができる唯一無二のエネルギーなのです。
「為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり」
いつの時代にも、世のため人のために時代を築きあげてきた先人たちがいます。今という一瞬は今しかありません。自己成長を求めて過ごす能動的な日々は、やる気に満ち溢れた刺激的な毎日になります。この地域を背負って立つ私たちが、地域の将来を自分事としてポジティブに捉え、自らアクションを起こし、使命感を持って本気になればこのまちは、今以上の素晴らしいまちになります。イノベーションによる能動的思考のもと、胸の中の火種をまちづくりの炎へと変えることで、私たちがこの地域社会を変革する原動力となり、いかなる問題にも果敢に取り組み、誰もが明るい夢を想い描けるまち静岡を確立してまいります。