はじめに
このまちの未来を想像したことはありますか。2025 年、このまちの人口は約67 万人おりますが、今から約25 年後、2050 年頃には約54 万人程度に減少すると言われています。若者が都市部に流出し、少子高齢化が進行する未来を想像する人がいるかもしれません。しかし、たとえ人口が減少する時代であっても未来に輝く静岡市を想像することができます。このまちの未来に希望をもち、前向きに行動する人が増えることで地域経済は活性化し、人口が減少する時代であっても未来への希望が溢れるまちにすることができます。
これまでも、静岡青年会議所の先輩方は理想を語り、このまちの明るい豊かな社会の実現を目指して運動・活動に邁進してきました。この運動の根底にある「想い」は私たちに引き継がれています。私たちはその想いを胸に、このまちの未来を変革するリーダーとして立ち上がり、このまちの未来のために行動しなければなりません。
きっと、私たちなら出来ます。日本青年会議所は1949年の戦後焼け野原の中、「新日本の再建は我々青年の仕事である」と掲げ、この国の復興、再建を目指し、志をもった先輩方の手によって立ち上がりました。今よりももっと、絶望に暮れ、社会が暗い影に覆われていた時も、その暗闇を照らす光となり、まちの人びとに光を与えることを青年会議所が行ってきたのです。
私たちが立ち向かうのは今まで誰も経験したことのない大きな課題です。一人ひとりがこのまちへの想いをもち、前向きに行動をすることができれば、明るい未来をつくることができます。想いは周囲に伝播します。誰かの心を動かし、前向きな行動に変えることができます。一人では成し遂げられないことも、行政や地域企業と一緒になって取り組むことができれば、未来への希望が溢れた社会を実現していくことができると確信しています。
さらなる未来への礎に 地域社会と一体となったまちづくり運動
人口が減少していく地域では、労働力不足や地域の担い手不足が加速し、地域経済は縮小し、まちは活気を失ってしまいます。人口減少が進む中でも、地域経済を活性化していくためには、地域の魅力的な資源を有効活用していく必要があります。静岡には魅力的な地域資源があり、多くの人から選ばれるまちとなれる可能性をもっています。しかし、このまちのもつ魅力的な資源はまだ多くの人には知られていない現状があります。この魅力的な地域資源を多くの人びとに知っていただくためには、行政、地域企業、各地青年会議所が連携し運動を展開していくことが重要です。そして、静岡青年会議所がこれまで歩んできた軌跡とこれから目指していくビジョンを共有することで、より一層この連携を強化することができます。また、静岡市の地域資源の魅力を多くの人に知ってもらうためには、この地域資源の魅力を実際に体験していただく機会が必要です。
静岡青年会議所は、本年20 周年を迎えます。静岡青年会議所が20 周年を迎えられることは、先輩方が築き上げてきた歴史と実績と地域社会からの信頼があるからです。次の5年、10 年のビジョンを達成していくために、行政や地域企業、他LOM と相乗効果を発揮したまちづくり運動を展開していく必要があります。20 周年を機会に、これまで静岡青年会議所を築き上げてきた先輩方や関係諸団体への感謝と敬意を表すとともに、さらに連携を強化し、静岡青年会議所のさらなる未来への礎を築いてまいります。
このまちには多くの魅力的な地域資源があります。この魅力的な資源を最大限に活用することで、静岡市以外の方々にもこのまちを好きになってもらうことができます。しかし、このまちの魅力的な資源はポテンシャルをもちながら、活かしきれていません。20 周年を記念して、このまちの魅力を伝える事業をこの地で開催することで、多くの方々に日本中からこのまちに足を運んでいただくことができます。この機会は静岡の魅力を体験していただくチャンスです。このチャンスを活かし、このまちを好きな人を増やしてまいります。
地域経済を牽引する世界にはばたく次世代のリーダーの育成
人口が減少する国において、市場の縮小は避けられません。日本国内の需要が縮小していく中で、市場を拡大し経済成長をしていくためには海外の需要を取り込み、外貨を獲得していく必要があります。しかしながら、地域企業を担う中小企業の多くはグローバルな事業を展開できていない現状があります。その理由の多くは、海外の市場を開拓できるグローバルに活躍できるリーダーの不足です。グローバル人財の礎となる国際意識を育むためには、将来の夢を考えはじめる青少年期から世界の文化に触れる機会が重要です。静岡青年会議所は、このまちの未来を担う青少年に国際交流の機会を提供してまいります。その機会を通じた青少年が将来、このまちの未来を牽引するグローバルなリーダーとなることで、このまちの未来を明るくすることができます。
地域経済を牽引するグローバルなリーダーを育成していくためには、このまちの未来を担う青少年が他国の文化に触れていくことが必要です。しかし、この静岡のまちには他国の文化に触れる機会はそう多くはありません。静岡青年会議所はこれまで培った国際的なネットワークをもっています。このネットワークを活かし、このまちの青少年に国際の機会を提供することで、このまちの青少年の国際意識を育みます。国際意識は他国の文化を知るだけでなく、日本の文化を理解することも重要です。国際意識をもち、未来への希望を抱ける青少年を育成してまいります。
共に社会の課題に向き合うパートナーシップの構築
このまちの人口減少が加速することによって引き起こされる、経済活動の停滞や縮小することは未だかつて誰も経験したことのない大きな課題です。これを克服し、このまちの未来に希望をもつためには、青年会議所単体での活動ではなく、行政、地域企業、市民とより一層強力なパートナーシップを構築し、大きな運動を展開していかなければなりません。こうしたパートナーシップの構築を推進するためには、静岡青年会議所の存在と、その運動を知ってもらい、信頼関係を構築することが必要です。
まちづくりの主役となるのは、このまちに暮らす市民です。私たちが進めるまちづくり運動そのものや、行政や地域企業が賛同して、協力してくれることに関してもこのまちに暮らす人びとに知られていなければ、当然その効果も小さくなってしまいます。私たちの存在や私たちの運動を多くの市民に知ってもらう必要があります。そのために、このまちのもつ課題意識や一年間の方針を共有する機会を創出し、多くのステークホルダーからの賛同を得ることが重要です。そして、各種メディアとの連携を強固なものとし、市民の心を動かす情報発信を行ってまいります。
近年、世界的にESG 経営が注目されており、短期的な利益を追求するだけでなく、長期的な視点で社会課題に取り組む経営が重要視されています。このまちの地域企業もESG への関心を高め、行政、地域企業、青年会議所が一体となって社会課題の解決に向かうことで、持続可能な社会を築くことができます。静岡青年会議所の運動の多くは社会課題を解決する運動であり、ESG の観点からも、青年会議所の掲げる想いや実際に行う課題解決につながる事業への賛同を得ることができる可能性をもっています。この組織への支援者を集め、そして、行政や地域企業をパートナーとして持続的なまちづくり運動を展開する組織体制を築いてまいります。
まちへのインパクトを最大化する組織の拡大と活性化
人びとが未来への希望が溢れるまちを実現していくためには、地域をより良くしたいと前向きに行動できるリーダーとなる人財が必要です。“青年会議所は、青年が社会により良い変化をもたらすためにリーダーシップの開発と成長の機会を提供する。”JCI MISSIONにはそう掲げられています。青年会議所の存在意義はこのまちを担う青年経済人のリーダーシップを磨くことにあります。また、同世代同士のつながりだけでなく、青年会議所という共通の経験をもつ、世代や地域を超えた人とのつながりも、この組織の大きな魅力の一つであり、この「人とのつながり」は、リーダーを育てるきっかけとなります。会員拡大によって、新しい人とのつながりをうみ、そのつながりを深めることで青年会議所運動の効果も高まります。このまちの抱える課題を解決していくためには、リーダーシップをもった青年経済人を育成し、このまちに輩出していくことが重要です。
静岡青年会議所はこのまちを豊かにするためのひとづくり、まちづくりに取り組む団体です。多種多様な職業の青年経済人が家庭や仕事の制約がある中で、リーダーとして成長することができます。40 歳を迎える歳に卒業をしなければならない青年会議所だからこそ、常に新しい人財を迎えなければならず、互いに高めあえる関係を築き上げていかなければなりません。新しい人財が求められる団体において、会員拡大は一人ひとりの力に依存する属人的なものではなく、誰もが関わることができる持続的な仕組みであることが必要です。そして、先輩方の想いを継承し次世代につないでいくことで、それが成長の機会への後押しとなり、私たちはこのまちを牽引するリーダーへと成長していくことができます。
青年会議所の大きな魅力の一つは人とのつながりです。人のつながりが強固なものとなることで、組織は活性化し、相乗効果が生まれ、青年会議所という組織がまちに与えるインパクトも大きくすることができます。想いをもって行動している人の近くにいると、自分も頑張ろうという気持ちが醸成され、行動の動機も「自分のため」から「誰かのため」に変わる瞬間があります。青年会議所での人とのつながりはお互いを高めあい、人生を豊かにすることができます。LOM や各委員会の垣根、国境をも越えた会員同士の交流を広げ、深めることで青年会議所の会員間の結びつきを一層強固にすることができます。会員が、青年会議所運動に尽力できることも、家族の理解があるからです。私たち会員を一番近くで支えてくれる家族にも日頃の感謝を伝え、運動に賛同してもらう機会を作り、支え合い、高め合うつながりをさらに深めてまいります。
高い規律性と倫理観をもった人財を輩出する組織基盤
近年、企業や組織において法令遵守や道徳を遵守した行動がますます重要視されるようになってきています。地域の企業が持続的に成長をし、地域社会から信頼を築いていくためには、コンプライアンスを重視した組織運営が必要不可欠な要素となっています。当然、私たち青年経済人にも法令遵守だけでなく道徳を遵守した行動が求められてきます。JCICreed にある”政府には人治ではなく法治が必要であり”という一文は、意思決定プロセスと組織運営の礎になっている一文であり、静岡青年会議所の意思決定のプロセスは個人の独裁的な意思決定によらず、法律や定款に則って、会員と役員の総意のもと意思決定が行われています。私たち青年会議所の会員一人ひとりが地域経済のリーダーであるためには、規律を守り、倫理的な行動をとることができる社会のロールモデルである必要があります。
静岡青年会議所が20年間地域社会から信頼していただき、運動を展開することができているのは、法律と定款に則った厳格かつ公正な会議運営がなされてきたからです。厳正かつ公正な会議から質の高い事業が生まれ、高い規律性と倫理観をもった人財を育成することができます。静岡青年会議所では、一般社団法人という特性上、意思決定プロセスは定款に基づき、重要な事項の決定は総会でなされます。重要な意思決定に会員一人ひとりが携わることで、組織を良くしていこうという意識を育むことができます。このルールの上で組織をよりよくするためには、その組織の現行のルール、青年会議所で言えば定款をまずは理解する必要があります。私たちが、この組織をより良い形で次世代につなげるために、厳正かつ質の高い会議運営を行うとともに、現行のルールを理解し、変更すべきルールを変更し、規律意識、倫理観の高いリーダーを輩出できる組織基盤を築いてまいります。
地域社会から信頼され、公正かつ透明性の高い持続可能な財政基盤
静岡青年会議所が持続的にこのまちにインパクトを与える組織であるためには、地域社会から信頼のおける組織であることが必要です。地域社会から信頼のおける組織であるためには、限りある予算を効果的に投資し、コンプライアンスを遵守した質の高い事業を行い、公正かつ透明性が高い財政運営をすることが重要です。精度の高い事業計画や決算報告は、質の高い事業の構築につながります。静岡青年会議所に蓄積された過去の議案は新たな事業計画を立てる上で、重要な資産です。この資産を活かすことで、同じ失敗を繰り返さず、より良い形で例会や事業を次世代につなげることができます。
私たちが地域社会から信頼される組織であるために、限りある予算を効果的に投資し、予算計画を立て審議することが重要です。かつ、コンプライアンスを厳守し、透明性が高い組織運営を行うことが必要不可欠です。そして、精度の高い議案を静岡青年会議所の資産として未来に引き継いでいけるように、毎月財政審査会議を行い、高い基準の精査を行ってまいります。さらに、この地域社会のコミュニティとの連携した事業を展開することで、地域社会からより信頼される組織を築いてまいります。
むすびに
私は、高校を卒業してから静岡を離れ、東京に6 年間、海外で3 年半を過ごして静岡の地に帰って参りました。静岡以外の地で暮らしてみると、改めてこのまちの良さ、このまちの人の温かさを感じることができました。また、3 年半の海外生活の中で、日本から海外に積極的に事業を展開している人たちと出会うことができました。私は、その人たちに「海外で事業を展開していくために必要なことはなんですか?」と、聞くと、口を揃えて「リーダーシップである。」と、答えていたことを覚えています。一人の力では成し遂げられないことも、人を巻き込んでいくことによって成し遂げることができます。
静岡青年会議所に入会し、青年会議所の先輩方の姿と海外生活で出会った彼らの姿が重なって見えることがあります。理想を掲げ、未来に希望を抱き、逆境の中でも前向きに行動していく先輩方の姿です。このまちには、人口減少や少子高齢化、経済の停滞化など大きな課題があります。しかし、このような逆境の中でも、私たち、そしてこのまちの一人ひとりが未来に希望をもち、行動することができれば、このまちの未来を明るく活気溢れた未来に変えることができます。
Go forward, for the future.
私たちは未来のために行動していきます。
そして、このまちの人びとを巻き込み、
未来への希望溢れるSHIZUOKAを実現してまいります。